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今日、たまたま帰りの電車で知り合いと会った。
彼女はナレーターだが、所属事務所がつぶれたりなどいろいろと苦労しているようだ。
「夢がかなう前が一番楽しいですね、どうしようかなと考えたりするときが。その夢が実現しはじめて進みだすと悩むことばかりで止まってしまう・・・
好きなことがやれているのにどうしてうまくいかないんだろう」
なんだか、「アンダンテ」の台詞のようなことを言っていた。
私の気持ちも今まさに、そのとおりなのでうなづくしかない。
「私もね、役を降ろされちゃったんだよ」
ところが、そう言うと、彼女は
「大丈夫ですよ。今まさに成長しようとしている小学生くらいの子供を見て駄目だと思いますか。だから絶対大丈夫」
そうなんだ、今まさに成長しようとしているところなんだ。
だからこそ、悩むこと、落ち込むこと、たくさんある。
それにしてもなあ・・・
今日もせっかく道化役ができるチャンスがあったのに何もできなかった。
ここでこれをやっては駄目なんじゃないか、これは、空気と合わないのではないだろうか、など自分を止めるいろいろなことを考えてしまう。
それで、今まであらゆる機会を逃してしまった。
自分に自信がない。
「やっぱり降ろされるべき人間だった」などと言われる。
もう芝居などやめようか、とも思ったが、思えば芝居をやっていないときもいろいろなチャンスを逃してきた。
今のままだと何をやっても一緒だ。
なぜだろう。
何をやっても本当に肝心なときに力を発揮できない。
そして、後一歩でもっとうまくなれる!というところで何でもやめてしまう。
自分に自信がないから。
今、劇中で過去の経験を生かしてあることをやっているが、もっとうまい人が星の数ほどたくさんいるとは知っている。
全然、自信がない。
台詞がなくなって役もなくなって、それだけになったら嫌でしょう?だからもっとがんばれとさんざん言われてきた。
しかし、ついにそれだけになってしまった。
それをがんばるしかないのだが。
すごいことだ、素敵な役割だとは思うのだが。
肝心なときに力が発揮できる方法・・・
自分を止めない方法・・・
ピアノの「即興」(その場で渡されたメロディに、その場で考えて伴奏をつける)も苦手だったしなあ。
そんなの、分かんねえよ。
今、分っているのはとにかく明日は来るということ。
そして、それに向かって進まなければならないということだけだ。
「タイタス・アンドロニカス」は通し稽古を行った。
もう、稽古は明日まで。
迫力ある形でまとまってきた。
「だがおれたち人間の目はみじめな、狂った、見まちがえばかりするものだ」
こんな、タイタスの台詞が深い。
本当にそうだよなあ・・・
最近のニュースを見ているとつくづく思う。
シェイクスピアの台詞は本当に現代にも通じているなあ。