すべての場面が芸術です

 今回の公演の準備のひとつとして、ピーター・グリーナウェイの「ZOO」を観る。
 ヒントは音楽です。
 今回の公演、「タイタス・アンドロニカス」のためになんだか変な映画ばかり観ている気がする。
 「サテリコン」も相当変だった。
 
 妻を白鳥との交通事故で亡くした(?)双子の兄弟。
 二人はそれ以来、生命の腐敗の映像に取り付かれる。
 音楽と映像を合わせるというのはどういうことか研究しようと思ったのだが、マイケル・ナイマンはどうやら映像を観ずに作曲しているらしい。
 それが、これしかあり得ないというくらい強引に映像とぶつかり合い融合し、戦い、高めあっている。
 全体的に絵画のような映画だ。
 話なんてよくわからない。
 ひとつひとつの映像がもう、芸術。
 腐敗していく生物さえ美しい。
 ちなみに、ASCの舞台もひとつひとつの場面が芸術です。
 
 
 さて、稽古場の「タイタス・アンドロニカス」。
 戦争で生き残った4人の息子のうち一人は自分で殺害、二人は殺人の嫌疑にかけられている。
 娘は強姦され手と舌を失う。
 絶望の中でタイタスは言う。
 「まだ舌をもつおれたちは、もっとみじめになる手立てを考え出すとしよう。
  そして後世の人々を驚嘆させるのだ。」
 タイタスのこの台詞がなんとも悲しい。

 「あとに続くのは祝福なき地獄のような救いなき日々だ」
 
 
 今日は朝5時に起きて劇団の倉庫へ小道具、衣装等を取りに行く。
 久々に早起き。
 それでも、結構電車は混んでいた。
 みんな早起きで働いている。 
 眠い目をこすっても、やらねばなるまい。
 稽古が終わってからも倉庫へ・・・
 電気のない倉庫は真っ暗。
 もう、この時期になると倉庫に住みたくなる。
 お化けがいるらしいが。