石垣島での挫折

 先日、石垣島ラソンに参加し、なんと途中リタイアという不名誉な結果に終わってしまった。
 昨年はみごと完走し、完走メダルももらい華々しく成功したレース。
 今年はみごとに駄目だった。
 そもそも稽古が足りていなかった。
 昨年の半分くらいしか走れていないという現実。
 もしかしたら、駄目かもしれないという思いはあった。


 走り出しから足が鉛をつけたように重かった。
 あっという間に最後尾。
 自分の後ろから交通規制が解除されていくという屈辱。
 10キロくらいから両膝が割れるように痛くなってきた。
 それから歩いたり、走ったりの繰り返し。
 去年は一度も歩かなかったことを考えると、これも相当屈辱的だった。
 ああ、これはもう制限時間に間に合わないかもと考えた。
 頭の中をリタイアという言葉が駆け巡った。

 
 21キロくらいで、係りの人に声をかけられた。
「もう関門を閉めてしまったんだよ、もうすぐバスが来るからね」
 そのときの心境は死を迎えるときのように穏やかだった。
 バスには最下位を争ったお馴染みのメンバーが乗っていた。
 暗いあきらめムードに満ちた、まるで囚人の護送バスのようだった。
 何ヶ月も前から宿を予約し、飛行機を予約した結末がこれだ。
 こんなバスに乗るために、様々な準備をしたのか、と思うと情けなくてたまらない。
 もう、涙さえでなかった。


 レース後は、選手のために汁そばなどが用意されていたが、何を食べてもおいしくなかった。
 帰りのタクシーで運転手さんに「ゴールできたの?」と聞かれる。
 「いえ、駄目でした」と言うと「毎年マラソンはやってるからね」と慰められる。
 そう、マラソンは来年もある。
 来年は必ず雪辱を果たしたい。