いろいろな人に「タイタス・アンドロニカス」の宣伝をしているが、思いのほか評判がいい。
 当初、「残酷な物語は嫌だ」「劇場が遠く行きにくい場所だ」というふうに言われるのではないかと懸念があった。


 しかし、物語も案外「面白そう!」という反応が返ってくる。
 劇場も「今までそんなに演劇公演をやったことがないところだ」、ということで「未知の劇場への期待」が寄せられる。
 そのほか「男性が女役をやるのがどうなるのか楽しみ」等々、期待が大きい。
 「もちろん、2バージョン観たい!」という声も。
 いい感じだ。
 いろいろ心配していたが、みんな来てくれそう。ありがとう!!!

 
 今日の稽古は第一場、ローマ帝国でタイタスがゴート征伐をやり遂げ全ローマの英雄として帰ってきたのもつかの間、あっという間に誰からも見離され街角で一人取り残される。
 それも、自分がローマのために良かれと思って選択した行動がすべて裏目に出たために。
 芝居が始まってほんの数分で彼の運命は大逆転する。
 逆に、彼と敵対するゴートの女王タモーラは、捕虜として連れてこられたにも関わらず、一気に皇帝の妃に。
 しかし、これはこの先の悲劇のほんの序章にすぎなかった。
 
 
 人生の大逆転が第一幕のほんの十数分で凝縮されている。
 もう、最初から目が離せない展開!


 冒頭、亡くなった先帝の息子、サターナイナスとバシエーナスが皇帝の座を争って選挙演説をする。
 そこで「もっと観客に語りかけるように」との演出の指示。


 そうなんです。
「川崎ファクトリー」では実にお客様の目の前に舞台を組んでいます。
 だから、本当に出演者が一人一人に語りかけるような芝居を観ることができます。
 かつて、大劇場のS席のチケットを取るのに苦労したことがありました。
 しかし、「川崎ファクトリー」はオールS席です。
 これはすごい。
 大劇場で観るのとはまったく違う、「タイタス・アンドロニカス」。
 直に、お客様の心に届くような芝居にしたいです。