旅立ちの日
いよいよ、明日から石垣島に旅立つ。
そして、日曜日にフルマラソンに参加する。
島の豊かな自然を眺めながら走れるのかと思うととても楽しみだ。
と、思っていたら、当日雨で相当寒いらしい。
かなり心配だ。
高低差の激しい土地だ。
不安も多い。
練習ではスポーツジムのランニングマシンでランダムに傾斜をつける設定で走っていた。
そこで発見したのは、大きな傾斜がついているときは実はそれほど辛くない。
のりこえてやろう、という思いでいっぱいだからだ。
辛いのはその傾斜がなくなり、ゆるくなったときだ。
本当に苦しくなる。
人生も案外そんなものかもしれない。
辛いと思うときは、大きな山場をすでに越えているのだ。
マラソンに向けて、様々なことに決着をつけ、すっきりとした気持ちで挑もうと考えていた。
次の公演に向けての希望を持ち、戯曲も一作仕上げ・・・
しかし、実際はどろどろとした思いでいっぱいだ。
芝居は一言も台詞が言えず、1行もいや、ひとことも台詞を書くことができない。
こんなにうまくいかない時期があっただろうか。
気力、気力、気力・・・
しかし、今はすでに大きな山場は越えているのかもしれない。
こういう時期にマラソンを走る、というのは何か運命を感じる。
昔は、運動神経のひどく劣る自分の肉体を随分呪ったものだ。
しかし、今はマラソンを走ることができるこの肉体に感謝したい。
限界を超えた未知なる境地に達したとき、自分には何が起こるのか、そして、何を知ることができるのか・・・
今はただ、走れることに感謝したい。