上を向いて歩こう

 いつも行くスポーツジムの「歩く」講座を受ける。
 歩き方といっても、実践よりも主に座学が中心のものだった。
 せっかく動きに行った場所で、わざわざ座学を受けるというのも・・・
 体で覚えるという感覚がよく分らず、頭でまず理解してからでないと動けない。
 
 
 歩行周期には「立脚相」と「遊脚相」があり、さらにその中でも相が分かれているという、なかなか難しい話だった。
 「歩く」という一見単純な行動を、これほど論理的に考えたのは初めてだ。

 歩行時に使う筋肉というのが「前頚骨筋」他、8種類、さらにまだまだあるという。
 何気なく行っている行動がほぼ全身運動なのだ。

 無論、ちゃんと「正しい歩き方」も教えてもらえた。
 面白いのは、視線。
 視線は「まっすぐ水平」より少し上を見るのがいいと言われる。
 何気なくやると顎が出てしまう。
 顎を引きすぎると、妙な上目遣いになってしまう。
 それにしても、かの名曲「上を向いて歩こう」は「正しい歩き方」の理にかなった歩き方なのだ。

 私は幼い頃から、いつもうつむきがちで歩いていた。
 親に「落ちているお金を探しているのか」とよく注意された。
 きちんと上を向いて、そろそろ陽のあたる道を歩こうではないか、と自分に言い聞かせる。
 
 無論、体幹を意識して体は真っすぐに。
 しかし、日本の道路は水が流れやすいために真ん中が盛り上がっている。
 常に右側を歩く人は自然、右に傾いていくそう。
 ただ、まっすぐに歩くだけでも意識しなければならないことが実に多い。
 まっすぐに歩くのは実に難しい。
 歩行も、人生も・・・