ヘンリー四世 第二部〜始まりのための別れ〜
「ヘンリー四世 第二部」。
この話のラストはなんとも切ない。
さんざん、フォールスタッフとつるんだり、彼をからかったりしてお馬鹿なことをやっていたハル王子。
強盗まがいのことや、王子ともあろう人が、給仕人に変装したりしている。
しかし、国王が死にヘンリー五世となった途端、王者としての姿を現す。
下賤な酒場に通って遊んでいたのも武者修行の一環。
王になるための過程に過ぎない。
堕落しきったところから、思い切り人が変われば世間も驚き彼を賞賛するという寸法だ。
しかし、もう王様になったからには昔の友達を切らねばならない。
訪ねてきたフォールスタッフに向かって「お前など知らん」と言い彼を追放処分にする。
フォールスタッフはどれほど衝撃的だっただろう。
しかし、何か彼はこうなることを予期していたようにも感じる。
彼の態度は世間への体裁だ、とフォールスタッフは言う。
結局、過去の罪状から監獄へ連れて行かれる。
ハル王子(ヘンリー五世)が友達を切ることに迷いはなかったのか?
「あのような夢は思い出すのも嫌だ。(中略)
私は生まれ変わったのだ、かつての私を捨てたのだ、そして、同様にかつての私の仲間も捨てるつもりだ」
ときっぱりと述べる。
それが余計にいろいろな想像力を書き立てられる。
途中に出てくる酒場のおかみクイックリーやフォールスタッフの恋人?ドルの交わす会話が面白い。
下品で、猥雑なエネルギーを感じる。
個人的にはお姫様よりこういう役に興味がある。