「残酷」と「生」

 ピーター・グリーナウエイ監督の「コックと泥棒、その妻と愛人」を観る。
 レストランを舞台に、「食」「性」「暴力」をグロテスクなほどの色鮮やかな世界で描かれている。
 その世界観は「タイタス・アンドロニカス」に共通している。
 復讐にも人肉が使用される。


 食材が調理されていく様子と、厨房の奥で性交をする妻と愛人が交互に映し出される映像は印象的だった。
 「食」と「性」そして「生」が非常に共通したものであるということが突きつけるように表現される。

 
 映画の世界は現実を超越した映像でありながらも、グロテスクで生々しい。 
 結構、気持ち悪い。
 登場人物の一人ひとりが実にリアルに描かれているので、ありえない話ながらもぐいぐい引き込まれる。
 人間の残酷さは強烈な「生」とイコールなのではないかと思わされた。
 途中、皿洗いの少年の歌うアリアのような歌が救いにも世界の終焉にも聞こえる。
 音楽はあのマイケル・ナイマン

 
 映画を観ながらよく聴いておくと、あれ?と思い出すことがあるかもしれませんよ。

 
 ASCの「タイタス・アンドロニカス」はどのように描かれていくのか。
 やはり、それぞれの登場人物が生き生きとした生命力を持って舞台に存在することができれば強いメッセージが残せるのではないか。
 今は、舞台の上で「生きる」ために出演者それぞれが試行錯誤をしています。