伝えたい!

 先日、「演劇集団Slow Work」の「赤鬼」を観劇する。
 今度自主公演「アンダンテ」で使用するホール、がざびいで行われる。

 「赤鬼」は野田秀樹さん作。
 いろいろなところで上演されているのは知っていたが、観たのは初めてだった。
 そして、なぜ、この作品をみんながやりたがるかわかるような気がした。
 
 登場人物は4人。
 小さな島?に住む女と弟、そして女のことを好きな男。
 そして、島の人々からは「赤鬼」と呼ばれ恐れられている得たいの知れない存在。
 女は「あの女」と呼ばれ、誰とでも寝る女だとつまはじきされている。
 弟は少し頭が弱い。
 男は「嘘つき男」だとやはりつまはじきにされている存在。
 島の人々となじめない者ばかりだ。

 あるときから「赤鬼」と交流を持つことになる。
 最初は彼の存在を恐れていたが、実は彼は言葉が通じないだけの気のいいあんちゃんだということが判明。
 
 そこからが面白い。
 最初、島の人や3人は赤鬼と言葉が通じないゆえに誤解し、恐れ、危害を加えようとしたりする。 
 しかし、3人に彼が実は脅威的な存在ではないことがわかると、一生懸命自分たちの言葉を伝えようとする。
 そして、苦労して思いがけないことから互いの気持ちが通じ合ったときの感動といったらもう!

 芝居をやるというのは、誰かに、何かを伝えたいという気持ちがすさまじくあると思う。
 それがこの「赤鬼」に言葉を、気持ちを伝えようと場面に凝縮されているのではないか。
 
 
 登場人物は言葉が通じる島の人々とは分かり合えない。 
 しかし、言葉の通じない赤鬼とは一時、深く分かり合える。
 それは、絶望的なラストへとひた走っていくのだが・・・

 しかし、政治、戦争、等重いテーマをこれでもかとつめこんだ作品、本当に理解するのは難しい。