残された時間はあまりにも少ない
これが、初日前日に書くブログにふさわしいとは思えない。
今、「オセロー」の稽古が始まって以来の最大の落ち込みを感じている。
役も自分もすべて駄目だ。
今日は「新人チーム」の照明あわせと舞台稽古。
恥ずかしいことだが、パニックに陥り、何も分からなくなってしまった。
舞台の中央、つまりセンターの位置がまったく分からない。
いつもの稽古場とまったく違う。
舞台ならではの場所が変わったり、きっかけが変わったり、いつものきっかけが見えなかったりする。
照明あわせのときにいろいろ注意を受ける。
もう、その一度で「稽古場とは違う」ことを体にしみこませなければならない。
後で反復したり、復習する時間がゼロのままリハーサルを迎える。
その一度でやらないといけないという意識が薄かったに違いない。
注意を受けたことが、何もできなかった。
パニックに陥り、どうしたかというと自分勝手なやりやすい芝居をしていた(のだろう。)
後で言われて「そうか」と思った。
私にはずっとそういう芝居をしていた時期がある。
だから、いつも一緒にやっている人に、失笑され馬鹿にされ相手にされなかった。
当たり前だ。
相手役の存在を無視して勝手なことばかり始めるのだから。
でも、なんで馬鹿にされるかよく分かっていなかった。
やっと分かるようになってきただけ、成長したのだろうか。
明日は、そのときの仲間が大勢見に来る。
「オセロー」の稽古では今までにない手ごたえを感じ、きっと昔の仲間にも少しは成長した姿を見せられるとわくわくしていた。
それがこの様だ。
「なんだ全然変わってないじゃないか」
今のままだと間違いなくそう言われる。
発声のことには、時間をかけて取り組んできたのに「声が汚い」と言われたのも衝撃だった。
役ができてきているという油断がどこかにあったのだろう。
自主稽古をたくさんしたから大丈夫だとか、うまくいっているから、という勝手な思い込みが油断を招いた。
わずかな数時間で変われるのか。
午前は「4人チーム」の稽古。
夜が「新人チーム」の本番。
残された時間はあまりにも少ない。
大声を出して泣きたいし、誰かに寄りかかりたいような情けない気分だ。
だが、そんな暇は一秒たりともない。
とにかく、できることからやらなければ。
「変わった」とか「成長した」とか言われたいんじゃない。
ただ「オセロー新人公演」を成功させたい。
そのために残された数時間で自分が何ができるか。
「オセロー」にかかわるキャスト、スタッフ全員のためにも、お客様のためにも今のままではまったく駄目だ。
なんとかしなければならない。