「劇作は愉し」タイトルに対する反論
- 作者: 斎藤憐
- 出版社/メーカー: 日本劇作家協会
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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なんか、師の彩乃木さんから「台本を書いてみないか」と言われた。
「絶対、女優より台本を書く方が向いてる」とまで言われる。
そんな・・・
まあ、そんなわけで、まあちょっと書いてみたら「やっぱり向いてないんじゃないか」などと言われる。
あんまりな話じゃないですか。
私は数年前、占い師に「あなたは将来、人に頼まれて台本を書くことになる。しかし、それにはあまり深入りしないほうがいい」
と言われたことがある。
そのときは、ああ、多分台本を書いてもシェイクスピア先生のようにはなれないのだろうなと思った。
でも、別に書きたいという強い欲求はなかったのでそれほど気にしなかった。
しかし、運命を作るのは占いではなく自分自身である。
もしかしたら、自分次第で何百年も後世に残るドラマが書けるかもしれないじゃないですか。
実は、私はずっと昔、劇作家で演出家の平田オリザさんの「台本の書き方」(だったかな?)なる講座を受けたことがある。
しかし、大学の誰でも受けられる講座のひとつで、別にプロになりたい人が通う場所ではない。
私も平田オリザさんの大変熱烈なファンなので、身近にお会いしたい、話が聞いてみたいという大変ミーハーな動機で参加した。
特に台本が書いてみたかったわけではない。
講座を受けて毎週、ちゃんと課題を提出すれば15分くらいの一幕ものの台本が書けるという仕組みになっていた。
それを、平田さんの主宰する劇団「青年団」の俳優さんが読んでくれる。
課題を提出できた人は5人くらいだっただろうか。
私は、ロボットに恋をする女とそれを取り巻く人々の話を書いた。
小道具の使い方が面白い、などと言われる。
俳優さんが台詞を読んでくれると、なんかすごいものを書いたような錯覚に陥いる。
それは平田さん自身もそうらしい。
しかし、私はそれっきり書いたことはない。
あらゆる台本を読んでいるとすごいものが多すぎて、自分なんて出る幕がないような気がしたからだ。
それより、美しい台詞を表現する方になりたいと思った。
はあ・・・
それなのに、なんで書くなんて言っちゃたんだろう。
私は人に何か頼まれると基本的に嫌と言えない。
後、非常に乗せられやすい。
「才能あるよ」などと言われると「シェイクスピアを超えるかも」などと思ってしまう。
そんなわけで、ワープロに向かって文字を打って完成させる。
できた?時、おかしいと思った。
こんな短い時間で書けるわけがない。
じゃあ、何ができたのだろう。
独り言?
まあ、でも、いろいろ言われてちゃんと勉強してみようと思った。
普通は書く前に読むのだと思うが、今さらながら「劇作は愉し」という劇作の方法や歴史が記されている斉藤憐さんの書いた本を読む。
これは、電話帳くらいの厚さがある本なので、まだ全て読むには至っていない。
「はじめに」を読むと「戯曲講座」で50人くらい受講生がいるうちにちゃんと書き上げられるのは、毎年5、6人だという。
高すぎる山道に迷ってしまう人が何人もいるという。
「山はながめるだけにしようと心変わりするなら、今だ。(中略)劇作家の子供が劇作家を目指した例は古今東西一つもないのだから」
と結ばれている。
ああ、もう、「まあちょっと書いてみた」とかで書けるわけないじゃん。
「劇作は愉し」とか言って、冒頭でいきなり、ちっとも楽しそうではないことが書かれている。
「劇作はしんどい」とかにするべきだ。
しかし、謙虚に山道をひとつひとつ登っていくしかない。
とにかく、そういうわけで私は「台本を書く」勉強をはじめた。
何か意味があってこういう機会が与えられたのだと思う。
果たして、深入りしないほうがいい道なのか・・・
やってみないことには分からない。