「役者魂!」虚構と現実の狭間で、美声を求めて

 あらためて「役者魂!」三回目を観て。
 確かに、舞台に対する内幕の描き方はあまりに杜撰(ずさん)だと思う。
 まだ、できてないからと初日に劇場に行こうとしない主演俳優。
 初日になっても台詞を覚えていないアイドル女優。
 小道具の杖の長さを不明な理由で変えたがらないスタッフ・・・

 ありえないことだだけだ。
 しかし、なんというか私の中でひどい憤りを感じるにまで至らない。

 以前にやっていた「下北サンディーズ」では主人公の劇団入りたての少女が、裏付きになりことごとく失敗する。
 その失敗したのが全部観客に受けて大成功で初日の幕が降りる、というのがあったがそれを観た時は「裏付き」スタッフをなめていると思い、二度とその番組を目にすることはなかった。

 また、別のとある漫画では主人公の少女が不注意で大道具を壊し、それを「直せ」と言われ本番までに、普通に誰の助けも借りずいつのまにか修理してしまう、というエピソードがあり、怒られながら大道具を覚える若手の姿を見たことのある私はひどい憤りを感じた。
 
 
 どちらも、舞台もしくは芸能界の裏側を描く意図が明確にあり、その描き方のいい加減さに憤りを感じたのだと思う。
 しかし、そういうのが芸能界の裏側がよく描けていると絶賛されていたりするわけで・・・

 
 だが、「役者魂!」の場合、最初からそれがあまり感じられない。
 題名のわりには。
 どちらかというと、幼い頃交通事故で両親を亡くしたことを乗り越え、妄想をしながら明るく生きていくマネージャー瞳美の姿、
 シェイクスピア俳優本能寺の突然現れた隠し子たちのエピソードなど、そういった孤独な人々の生き方、
 また、孤独な人と人同士の心の交流を描くのがメインになっているように感じられる。
 舞台裏のできごともすべてそういったことを描くためのスパイスでありメインではないように思われる。
 だからといって、いい加減に書いていいものではないが。
 ただ、これを観て「舞台裏ってこんなのなんんだ」と思う人は、あまりいないのではないか。
 大方の人は嘘なのを承知で観ていると思うがどうだろう。


 私は描きたいであろう「人間の交流」の描き方が中途半端で、そちらの方が気になる。
 そもそもあの子供達はなんなのだろう。
 なんの意味があるのか。
 第3回を観ても必然性がさっぱり分からなかった。
 
 
 また聞きの話で恐縮だが、医療現場のドラマなどもプロの人が観ると「ありえない」ものだったりするらしい。
 「視聴者の興味をひきつけるようなおもしろいものを描きたい」と「現場をリアルに忠実に」がドラマの場合なかなか一致しないのではないか。
 だから、面白くないと思うのか別にいいと思うのか・・・
 別にいいとは思いたくないけど、ある程度は、という気もするし・・・
 もう少し見守りたい。
 
 
 「声のよくなる薬(サプリメント?)」というものがあるらしい。
 歌などの本番前の30分前に飲むと劇的に声が良くなるそうだ。
 今度知り合いが、その薬の載ったちらしを持ってきてくれるそうだ。
 
 私は以前「声がこもっている」とか「浮いている」などと言われて、そのため役まで変えられ、切羽つまり、「声のよくなる道具」を買ったことがある。
 CD屋で普通に売っていた。
 何か筒状のプラスチックの小さい笛のようなものだ。
 お尻を突き出すようなみっともないポーズで、それを毎日吹いていれば、劇的に声がよくなるらしい。
 7000円ほどした。
 ご丁寧に使い方ビデオ(5分で終わる)までついていた。
 それを毎日やっていたら周囲の人々にひどく馬鹿にされ、その道具を「世界一無駄な買い物」「絶対騙されている」とさんざんののしられた。
 声楽の先生に見せたら「声の出し方が分かっている人にはいいかも・・・」と不審気に言われた。
 それが分かっていたら買わないって。
 
 あまりにも馬鹿にされ、絶対そんなものでは良くならないとみんなに言われるので、どこかにやってしまった。
 
 すみません。
 一昨日のブログはなんだったんだ、という内容の話でした。