風に舞い上がるビニールシート
- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/05/31
- メディア: 単行本
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しかし、本屋に行くとなんか舞い上がって我を忘れてしまうらしい。
わあ、おもしろそうな本がたああくさん!
何しろすぐ立ち寄れる範囲内に本屋がない。
こんなことって、今までの人生になかった。
そんなわけで、たまに本屋さんに行くと必要以上に舞い上がり、気がつくとパソコン関係の関連本コーナーはいつもまったく素通りしている。
家に帰ってからあっと思うのだが・・・
本との出会いは人との出会いと同じで、ある種、運命的なものがあると思う。
もちろん、読む必要のある本は別だが。
私の魂はパソコン関係の本を必要としていないのだ。
ソウルメイトにはなりえない。
うう、ごめんよ。
ああ「運命の本」よ。
でも、明日こそ見てこよう。
「風に舞い上がるビニールシート」は直木賞受賞で注目されているので、読んでみた。
6つの短編小説からできている。
犬を預かるボランティアをしている主婦や、仏像の修繕師、国連職員の女性等、ちょっとすぐに生活が想像できないような登場人物がそれぞれの短編の主人公。
こういう小説を読むと、それぞれの登場人物の職業ややっていることについて「よくぞここまで調べた」と思うような事柄ばかり。
自分とはまったくかけ離れた職業の人物を、あたかもそこに生きているように語らせるという面においては、小説家の仕事は俳優と似ているのではないだろうか。
小説家はさらに性別や性格もまったく違う人々を何人も描くのだから、本当にすごいと思う。
ただ・・・
正直、私の感想は、どの短編も頭のいい人が書いたのだろうなあ、という印象ばかり受けてしまい、なんだか好きになれなかった。
直木賞を受賞したのだから、今の時代に求められているのだろう。
確かに、登場人物たちは自分のやっていることに、迷いながらも自分なりの価値観を見出していく、という部分においては今の時代にあっている。
なんとなく時代に流されて生きているような生き方とは無縁だ。
最後はどれも心温まる感じで・・・でも、なあ。
ああ、なんだろう、このもいまひとつ共感できない、もやもやする感じ。
なんかどの短編も優等生的というか・・・
もっとあらゆる意味において、最下層にいる自分は、なにかやっかんでいるのかもしれない。