恋愛ディベート 「ときめきの瞬間は過ぎても」

 先日の稽古でシアターディベートというものをやった。
 その反省は後日に譲るとして、現在抱えている問題をディベート風に書き出してみたい。
 
 
 ディベート=あるテーマについて肯定側と否定側とに分かれて行う討論。(広辞苑より)

 論題「大西伸子は彼氏を愛している」

 論題の言葉の定義(肯定側、否定側共通)
  
 「愛」・・・男女間の相手を慕う情。恋。
      「情」・・・思いやりの心。なさけ。異性を慕う気持ち。(広辞苑より)
      

 肯定側の主張
 わがチームは論題を肯定する。

 論題を肯定する理由

 1・大西伸子は彼氏といると楽しいと主張している。(証言者多数)

 2・大西伸子の両親および、友人も二人の関係を応援している。
 
 3・大西伸子は常に彼氏と会えないときもメール等で連絡を取っている。

 4・大西伸子は幾度か彼とデートをしている。

 5・大西伸子はブログ(以前のブログ参照)、口頭で「彼氏を愛している」と主張している。

 6・彼氏は大西伸子を愛している。

 7・大西伸子と彼氏は趣味(読書、映画鑑賞等)が合う。

 8・彼氏は大西伸子の部屋を掃除したり、食器を洗ったりと、まめで優しい性格だ。

 9・彼氏は大西伸子に「君だからいいんだ」としょちゅう言っている。

 9・彼氏は失恋した大西伸子の精神的な支えとなった時期もある。


 結論
  以上の理由により彼氏は非常に人間的に優しく、また、大西伸子と趣味がよく合うことも明白だ。
  「愛」の定義である「相手を慕う気持ち」は十分にある。
  したがって、われわれは論題を肯定する。


 肯定側の立論
 わがチームは「大西伸子は彼氏を愛している」という論題を肯定します。
 まず、大西伸子は彼氏といると非常に「楽しい」と明言しています。 
 恋愛において「楽しい」こと、これは非常に大事なことではないでしょうか。
 これがなければ、恋愛ではありません。
 また、両親および、アルバイト先の友人も二人の仲を知っていて応援しています。
 両親および、アルバイト先の友人は彼のことをただ一度、ある養成所の上演実習で演技を見たのみです。それだけなのに、非常に彼の人柄を認め、大西伸子とつきあっていることを応援しています。
 「愛する」気持ちにおいて人に応援されるというのは大きな支えになると思います。
 大西伸子と彼氏は互いのアルバイトの都合から週に1、2度会えれば良いほうです。
 しかし、二人はしょっちゅうメール交換をして、互いに連絡を取り合っています。
 このような工夫は「愛している」からに他なりません。
 また、会えば互いの家に行く等のデートもしています。
 「愛していない」異性の部屋に果たして入ることができるでしょうか。
 また、「愛していない」異性を部屋に入れるでしょうか。
 よほどの信頼できる友人でない限りは無理でしょう。
 また、自らの口で、または日記で「愛している」と明言しています。
 これほど大きな証明はないでしょう。
  
 一番重要なのは、彼が大西伸子を「愛している」ことです。そもそも、彼氏が大西伸子に告白したことから二人の関係が始まりました。「愛してくれる」人を「愛する」ことは実に自然なことです。
 また、二人は読書等の趣味が合い、互いの部屋に行ったときは互いの本棚から本を読み感想を述べ合います。趣味が合うのは男女間の「愛」において非常に重要なことです。
 彼は非常に優しい性格です。
 大西伸子が部屋をかたづけられないのを責めたりしません。
 むしろ「一緒にかたづけよう」と積極的に掃除をしたり食器を洗ってくれます。 
 このような性格の人にずぼらな大西伸子が魅かれたのは自然なことでしょう。
 
 大西伸子が彼氏に告白されたのは大西伸子が失恋した直後のことでした。
 大西伸子が自暴自棄になり、恐ろしい行動に出る可能性のある時期に、彼がいたのは非常に大きなことでしょう。
 
 彼氏は「大西伸子が大西伸子だからこそいい」と考えています。
 そこまで自分のことを認めてくれる異性が果たしてこの地球上に何人いるでしょうか。
 このような男性を「大西伸子」が愛するのは自然なことです。
 
 「大西伸子」には相手を「慕う」理由は十分にあると思います。
 したがって、わがチームは論題を肯定します。



 論題を否定する理由

 1・大西伸子は友人と飲み会に行ったとき、また、文通相手に今の関係が「どこかしら不安」と明言している。

 2・彼氏が俳優として将来どうしていきたいのか今ひとつよく分からない。

 3・大西伸子の所属している劇団研究所の師匠が、彼氏とのつきあいに反対している。

 4・大西伸子はかなり親しい友人にも彼氏との仲を公開していない。

 5・大西伸子は彼氏に「ユング派の対症療法」を用いて話し合おうとメールで書かれたことがある。
 
 6・大西伸子が彼氏と向き合おうとしたとき、彼氏は彼女の抱えている問題を真剣に解決しようとしてはいない。

 7・「もし、君に人柄も財力もあって君を愛してくれる結婚相手が現れたら、僕は消える」と大西伸子に明言している。
 
 8・大西伸子は失恋からとおに立ち直っているので「支え」の必要はない。

 以上の理由により、大西伸子が彼氏を愛しているという気持ちに不安を持っているのは明白だ。また、彼氏も、大西伸子を愛しているとは思えない。
 よって、わがチームは論題を否定する。

 
 否定側の立論

 わがチームは「大西伸子は彼氏を愛している」という論題を否定します。
 大西伸子は彼氏とつきあいはじめて比較的早い段階から、友人や手紙に「不安」な気持ちを明言しています。
 大西伸子は不安なのは「自分に自信がないから愛する気持ちにも自信がない」と言っていました。
 だが、果たしてそれだけなのでしょうか。
 彼氏は「理由7」にも述べたように、「大西伸子に結婚相手が現れたら自分は消える」と明言しています。
 本当に相手のことを「愛している」なら、たとえ現時点で結婚できるような「財力」や「地位」がなくとも、いつか「大西伸子」を「自分の力」で幸せにするため、「努力しよう」と考えるのではないでしょうか。
 大西伸子が不安なのは自分だけでなく、相手も自分自身に、また、「大西伸子」を愛する気持ちに不安があるからではないでしょうか。
 このうような「不安」が大西伸子が友人に彼氏を公開できないゆえんです。
 大西伸子は女優を目指しています。女優というのは資格があればなれるというものではありません。
 たゆまぬ訓練を積み、毎日感性を磨き・・・それでもなれない人は大勢います。
 そのような厳しい職業につくため、尊敬する師匠のいる劇団の研究所の門をたたき、レッスンを受けています。
 そのような人間が「俳優としてどうしたいのかいまひとつ不明」な彼氏とつきあっていて、なんのメリットがあるでしょうか。
 「愛」にメリット云々は関係ないと思われるかもしれません。
 しかし、大西伸子は「女優」という厳しい職業を目指しているのです。
 互いに自分を磨き、「今日よりも明日」と鍛錬できるような相手(相手が同業者でなくとも)と恋愛をした方がいいのは明白です。
 「楽しい」だけの生ぬるい関係はさっさと終わらせた方が良いのです。

 そもそも「師匠」に反対されるような相手とつきあうのはいかがなものでしょうか。
 大西伸子の彼氏を愛する気持ちに疑問を抱き、また、「女優修行」に大きな妨げとなると思うから反対するのです。
 
 彼氏は大西伸子と話し合う際に「ユング派の対症療法」という言葉を用いました。
 これは「対等に話し合いたい」という意味だと彼氏は説明しました。
 もちろん、言葉の意味どおりでしょう。
 しかし、ユングは有名な精神医学者です。
 大西伸子は彼氏の患者ですか?彼氏は大西伸子を精神病のようにとらえているのではないでしょうか。
 このような気持ちがはたして大西伸子を本当に「愛している」といえるでしょうか。
 
 生きていくうえで誰かの「支え」は必要なことでしょう。
 大西伸子は「彼氏に愛される」「彼氏を愛する」気持ちで自分を支えようとしていたのかもしれません。
 しかし、不安な気持ちがある「偽者の愛」で自分を支える必要はありません。
 大西伸子は自らの生きる道を自らで決めています。
 自らの力で「本当の愛」をつかみとる力もあるでしょう。

 以上の理由によりわがチームは論題を否定します。

 
       
 反対尋問の様子や、最終弁論の様子も書こうかと思ったが、ものすごく長くなるのでやめる。
 肯定側にも否定側にもそれぞれ論拠の弱い部分があるところは十分に承知している。 

 
 今日は彼氏の出演する演劇を観にいく。
 彼氏は一週間出演しているので、また長い間話し合う時間がない。
 
 ディベートをやることで少しは論理的思考ができるようになっただろうか?
 彼氏と話し合う時には「論理的表現」ができるようにしたいものだ。