本当の私

友達が劇に出るらしい。
 メンバーも演出家も初めて組む人たち。
 ストーリーは今ひとつ説明を聞いただけではよく分からなかったが、オリジナル作品で多分ファンタジー
 そこで、彼女は拳銃を扱う司令官という役どころを与えられたそう。
 「全然私にないものばかりだよお」
 と悩んでいた。
 確かに、見た目もおとなしそうで、文科系。どちらかというと、人の後についていくタイプだ。
 ただ、内面ものすごく気の強い部分があり、そのためそういう役を当てられたのかもしれない。

 
 私は中学生のころ、バトントワリング部に入っていた。
 私のことをよくご存知の方は分かると思うが、いかにも運動神経がなさそうで、地味。
 全然、バトンという柄ではない。
 案の定、まったくついていけずクラブのお荷物的存在で、後輩にも馬鹿にされていた。
 途中で登校拒否状態のようになってしまったこともある。
 でも、どうしても「バトン」がやりたかった。
 バトンをくるくる回して人の目を楽しませる、「華やかな存在」になりたかった。


 自分を客観的に見られていなかった。
 美術部の先生が非常に私の美術センスを買ってくださり、幾度も美術部入部を勧められたのに。
 それを拒否してまでバトン部に入ってしまった。

 ちなみに高校の時も国語と音楽の成績だけ異常なほど良い超文系なのにもかかわらず
「科学同好会」に入部するという愚行を重ねる。
 このときも音楽の先生が「合唱部」に誘って下さったのに・・・


 「自分がやりたいこと」と「自分にむいていること」は必ずしも一致しない。
 演劇の「役」でも自分の「やりたい役」と周りから見て「合っている役」が、まったく違うことも往々しにてあるのではないか。

  
 私はクラブ活動のみならず、周りの人から見て「自分にまったく合っていないことをする」という愚行ばかり繰り返している。
 もちろん、これ以上愚行を重ねないよう、何かをやるときはなるべく多くの人の意見を聞くようにしているのだが・・・

 何かやりたいと思うと「突っ走ってしまう」ところが自分にはある。

 
 また、何か間違えそうになったら、誰か止めてください。
 
 
 「演劇」を「間違ってるよ」と止められたら・・・


 これだけは突っ走らせてください。