どないしょー

 さて、昨日の続きです。
 「イケズの構造」にシェイクスピアの精神が京都人と似ていることについて書かれた件があります。

 本書によると「ハムレット」の「to be, or not to be・・・」
 「生きるべきか死ぬべきか・・・」
 「このままでいいのか、いけないのか・・・」
 の有名な台詞は・・・
 京都語に訳すと、

 「どないしょー、どないしょかなあ。・・・どないしょお?」
 となるそうです。

 これは、京都語が「面倒くさいのでも語彙が少ないのでもなく、それだけ幅があり、また曖昧で、相手に解釈を預けてしまう言葉」だから、こうなるとのこと。
 


 そうなんですよ。
 京都弁は「そやねえ」だけでも様々な意味があり、額面どおりに受け取れないものが結構多いです。


 作者はまた「それにしても英語から京都語に直接翻訳してゆくと、こんなにも鮮やかにオリジナルのニュアンスが香りたつものかと、われながら、感心します。
(中略)京都語に変換するぶんいは元の味わいを損なわずにすむような気がします」
 他にも本書ではシェイクピアの台詞を京都語に翻訳されたものが載っています。
 地元の人が読まないと、ニュアンスは伝わりにくいかもしれませんが。
 

 つまり、標準語だと最低限の情報しか伝えられないところを、京都語の曖昧さ、表現の豊かさでみごとにオリジナルのニュアンスを伝えることができると、しています。

 また、「イケズ」の代表として、「ジュリアス・シーザー」のアントニーの演説もあげられています。
 ブルータスをほめるふりして、実は追い詰めてはるのはほんまにイケズや。
 他にも出てくるシェイクスピアの「イケズ」な登場人物や台詞・・・

 これはもうぜひとも、私が「きちんと標準語を理解した暁には」
 京都語でシェイクスピアの戯曲を上演したいものです。