ジュリアスシーザーな日々
ついに、ASCの次回公演(12月)の演目が正式に決まり、準備が少しづつ始まる。
レッスンでは読み合わせをしたり、それぞれ調べてきたことを発表したりしている。
演目は「ジュリアスシーザー」
ローマ帝国の偉大な人物、ジュリアス・シーザー暗殺を中心に繰り広げられる男たちのドラマ。
単純に観客側なら、美しくたくましい男の出演者たちが次々と出てきて己の思想のためにかっちょよく戦い、乙女のハートをこれでもかと燃え立たせるような演劇が見たい!!!
と、思うのだが・・・
今回「作る側」になったので、そんな呑気な妄想ばかりしてられない。
とにかく、ジュリアス・シーザーの時代については、学校の世界史で昔習った断片的なことしか知らないので、資料調べからはじめる。
資料を見てまず驚いたのは、ローマ帝国が巨大帝国を築き上げ400年もの間繁栄を維持した鍵は「軍事力」ではないということだ。
帝国は公共広場、劇場、公共浴場、下水道これらの施設をしっかり整備する。
「ローマ帝国は、こうした快適な都市を造ることで、支配地の人びとの心をつかみ、円滑な統治を実現しようとしたのです」
(「ローマ帝国Ⅰ」 NHKローマ帝国プロジェクト編より抜粋)
初代皇帝アウグストスも
「武力による支配は何も生み出さない。それどころか、やがて、自滅してしまう・・・」
と言っている。
そして、ローマ帝国は「パクス・ロマーナ」と呼ばれる200年間戦争のない時代を築く。
この時代の人が、武力の無力さをこれほど感じているのに、現代社会のこの有様は何だ?!と思う。
シーザーの時代はまだ武力の溢れる混乱期。彼の独裁政治になることを恐れたアントニーたちにより、暗殺される。
その武力が結局、何をもたらしたか・・・
ローマが武力のむなしさを知ったのはまだそれより後だ。
しかし結局、「人心をつかむのは武力ではない」というところに、「ジュリアス・シーザー」を読み解く鍵があるのではないかと考えている。
今後も資料を調べて感じたことを書いていきたいと思う。
昨日、友達の家に泊まりに行った。
「ジュリアス・シーザー」(白水社、小田島雄志訳)の本を眺めていると
「何、この台詞の量!!嫌あ!」
と驚かれた。
ブルータスの妻ポーシャが夫に「あなたの悩みを打ち明けてください」という内容のことを言うのに5ページくらい費やしている。
昨日のレッスンで菊地先生は「言いたいエネルギーがたくさんあるから、たくさん話すんだ」というようなことをおっしゃられた。
でも、シェイクスピアに別に興味がない人からしたら
「長くて、つきあってられない。嫌!!!」
という反応だろう。
現代の会話はもっと短く、曖昧。
その中で、シェイクスピアの台詞の膨大な長さ、また心情を全部語るというのは異様に映るのだろう。
あらためて、これだけの量の台詞を現代人にも聞かせるには・・・ということを考える。
しっかりと探求していきたい。