「タイタス・アンドロニカス」の稽古もいよいよラストの場面へ。
 
 復讐につぐ復讐の最後はどんな形で終わるのか。
 主役の二人の死に方はちょっとユーモラス?
 あれは食べられるのか?!
 川崎ファクトリーならではのあれが出現?!するかも・・・
 美しい音楽が流れるのか?!
 それは、誰かさん次第です。

 
 まだまだ製作中です。

 
 自主稽古中はどうやって殺されるのか、どうやって死ねばいいのか、というような稽古が続いていています。
 役者は殺人以外はなんでもやってみろ、と言われますがやってはいけない殺人が多いこの芝居、想像力が問われます。
 
   
 タイタス役の菊地さんに、ある役に対するアドバイスフェリーニの映画を観ればいいのではと言われました。
 どれを観ればいいのか・・・
 もっとも有名そうな「道」を観ました。
 
 鎖を胸の力で壊す芸をやる芸人ザンバノ(アンソニー・クイーン)と彼に買われた女ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マッシーナ)の物語。
 イタリア映画は人間のありのままの姿を描こうとしているのが非常に共感を覚えます。
 特に中年女性のしみや老い、疲労を隠そうとせず、すべてを映し出している表現がとても好きです。
 「道」でも途中に少しだけ出てくる未亡人が印象的でした。
 二回結婚したというような言葉で彼女の人生のすべてがわかるように感じます。
 ザンバノのがらがら声もいいです。
 心に響く声です。
 インターネットの映画評をいくつか観ましたが、ほとんどすべてに映画の中の「この世の中にあるものはみんな何かの役にたつんだ。石ころだって」という言葉に共感したとありました。
 ちょっとおかしい感じの若い男の芸人が自分が不美人で何の役にも立たないと言うジェルソミーナに言う言葉です。
 ずっと変なことばかり言っていたこの人が突然こんなことを言い出すのもなんだか唐突な気がしないでもないですが、やっぱりいい言葉です。
 みんな貧しく、粗野ではありますが互いを思いやって生きているいい人たちばかりが出てきます。
 それだけにラストは悲しすぎます。

 さて、役とどうつなげていくのか。
 これまた難解な作業です。